2007年06月07日

あの孤独をどれだけ理解できるか:「バベル」

完全に順番が前後しちゃってますがあせあせ(飛び散る汗) 
mikaりんさんがご覧になられると聞いて、この放置原稿を思い出しましたふらふら
というわけでようやっと「バベル」の感想を・・・たらーっ(汗)

バベル-オリジナル・サウンドトラック
バベル-オリジナル・サウンドトラック
サントラ,グスタボ・サンタオラージャ,チャベラ・バルガス,アース・ウィンド&ファイアー,ファットボーイ・スリム,小山田圭吾,坂本龍一,アマデオ・パセ,スケッチ・ショー,デヴィッド・シルヴィアン,コントロール・マチェテ


というわけで私の、ひさーびさの映画館復帰第1作が「バベル」です。
モロッコのエピあたりで、不安定に揺れる手ぶれ映像に気持ち悪くなりながらも、
私としては割と納得して映画館を後にできた1作でした。
特にラストシーンはすごく胸に残りました。
しかーし!私が相変わらずパソコンつなげず、感想Upしていない間にも、酷評がどんどん増えている。。。
日本だけで起こったらしい、「光点滅で気分悪くなったお客さん事件」というマイナス要素に加えて、
GWの期待外れ度No.1映画!なんても言われておりました。(キビシイ)
まあ、明るい気分になれるわけじゃないけど、そんなに叩かれるほどひどい映画だとは思ってなかったんで
あらー、やっぱり私って変わってるのかなぁ〜、
やっぱり女のくせに北野監督とかキム・ギドク監督とか好きだとか言ってるしな〜もうやだ〜(悲しい顔) と改めて思ったんですが、
でもまあ、100人見たら100通りの感想があるかもしれないのが映画なんだし、
映画感想をBlogで書く中で、こういう変わった人がいた方が面白いじゃないです?
「こたえちゃんの映画の見方面白いから感想待ってます黒ハート」とおっしゃって下さる方もいらっしゃるし。
勇気を出して、「バベル」のどこに惹かれたのか、確認しながらいっちょ書いてみたいと思います。

あ、ちなみに、気持ち悪くはなったけど、劇場からは出ないで、そのまま最後まで映画は鑑賞しました!
ですから、「途中見てないからつまんなさが分からなかったのでは?」という疑問には
「NO」とお答えできます。
もしこれ読んだあと見に行って、「おえーっ!」になった方は、画面を直視せず、台詞を聞き取り、
音が途切れたら画面を薄目開けてみる、を5分くらいやってたら吐き気おさまるので、試してみて下さい黒ハート

と、使用上の注意はここまでにして(笑)、「バベル」ですね。
少しネタバレしないとどうにも感想が書けそうもないので、
これからご覧になりたい方は以下ご注意下さい。

この映画、2つキャッチコピーがあるのをご存知でしょうか?
一つは「神は、人を、分けた。」
これは割と初期(映画館においてあるチラシができたての頃)に使われていたもので、
旧約聖書で、【昔、人々の言語が一つだった頃、バビロニアでノアの子孫たちが奢り高ぶり、
天まで届く高い塔を建て始めたがこれが神の怒りに触れ、
神は、人々が異なる言語を話すようにして混乱させた。】
(→ここからいろいろな言語が誕生したといわれている)
という「バベルの塔」(Tower of Babel / temple-tower in Babylon) の
話からとってるコピーだと思うのね。
このコピーを見て、すごい大きな世界観や、大規模な、もしくは大仰な映画を
想像して見に行ったら、たいがいがっかりすると思います。
だって、世界4つの国でエピソードは進むけれども、そのつながりは非常に弱い1本の線(ライフル)だけで、
エピごとのつながりが薄すぎる。あれなら脚本がもっと練りこむ余地があったと思う。
それに、イニャリトゥ監督お得意の「時間軸交差」も今回あまり活かしきれていないような気もした。
それでも私の胸にこの映画が残ったのは、
きっと、宣伝後期に使われていたコピーを考えた人と、
同じところを見ていたからだと思う。 
そのコピーは、「届け、心。」
私が思うに、この映画が描きたかったテーマは "discommunication",
それも「言葉が通じない」ということじゃなく、「心が通じない」事象を体験する
3つのエピソード(と薄いながらもリンクしているエピ同士)において、
それぞれがどういう結末を辿るか、を描きたかったのではないかと。

銃を最終的に手にしていた者が辿る、不幸極まりない結末と、
(あの先、あの家族がどうなったか、考えるだけでも暗くなる)
銃を撃ち込まれた者、あるいは銃のために不幸になったからこそ
銃を手放した者たちには、暗い中にも、
少しの救いを残して終わっている辺り、
昨今の世界情勢の批判も入っていると読み取ることも出来る。

あるいはもっと出ている人間よりの解釈をすれば、
例えば今回この作品でアカデミー賞にノミネートされた
菊池凛子(チエコ)とアドリアナ・バラッザ(アメリア)で考えてみると、
アメリア(アメリカ、と1文字違いなのは意識的?)は
少しずつの失敗(甥っ子が酒を飲んで運転していたとか、ブラピたちの
子供を正直に『預かっている』といったが為に委任状出せといわれたりとか)で
ぼろぼろになってしまうものの、最後、一度は「食い詰めたら俺も母さんの
ところに行くよ〜」と、能天気に言っていた新婚の息子に抱きとめられ、
チエコ(私はこの役名で「智恵子抄」を思い出したけれど)は
「言葉が通じない」ことにより「心が通じない」状況に追い込まれた、
この映画における孤独と寂しさの具現化の最たる者だと思うんですが、
それゆえ彼女は体ごとぶつかっていかざるを得なかったし、
ラスト、その彼女の孤独は、刑事(二階堂智さん!よかった〜!)の軽いハグではなく、
父親のしっかりとした抱擁によって「救われた」、
というよりは「伝わった」、
つまりそこが「バベル」(=言葉が通じない、気持ちも通じない)を
打ち破る突破口になるんだ、と、イニャリトゥは言いたかったのかな?と。
モロッコのエピソードを最後にもってきていたのなら、
うわあ!とんでもなく重たいラスト!
監督って思いっきりペシミストだなあ
と思ってしまうけれど、
最後、エピソードの中の彼らは必ず誰かしら【抱きとめてくれる人】を見つけ出している、
それを最も象徴するあの日本のエピソードを最後にしたのが、
監督が希望の光を残したかったからなのかな? それが監督の優しさなのかな?と
私は感じました。
だから「クラッシュ」ほどのどーーーんとした暗さは、私個人は感じなかったし、
逆にこのラストが印象深く残りました。
チエコに脱がす必要があったのか?は難しいところだけど、彼女はとにかくあの映画の
いちばんの孤独のような存在だから、孤独剥き出しで向かっていくという意味では
ヌードも仕方なかったのかなと思う。
監督もキャスティングについてインタビューで
「いくらオーディションをしても、凛子のようなあの孤独を湛えた俳優に出会わなかったから」
聾唖者の方を選ばず、凛子さんを選んだ、と言っていたので、
あのキャラは「孤独」のシンボルなんだと思うと、割と納得して観られるんじゃないかと思います。

ということで。大変長文になりましたが、、、私は割りとこの映画、買ってます。
ようやく最後まで書ききれてよかった〜。
明日は病院に行ってきます(´Д⊂  
 ↑ 何故か右足が毎夜毎夜腫れていくんだよ〜〜 あせあせ(飛び散る汗)


posted by こたえ at 07:00| Comment(4) | TrackBack(2) | Cinema | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ふむふむ...そういう観方もあるんですね

この映画はどちらかというと映像を観る映画というよりは
内容をしっかりと観る映画だと思います
だから、映画館でなくてDVDでも十分かな?・・・とも(・・;)
σ(⌒ ⌒;)は映画館の方が集中して観られるので
出来るだけ映画館で観たいと思っていますが...

ラストはちょっと意外でした...
最悪なパターン(チエコが・・・)も想像していたし・・・
確かにモロッコでの出来事をラストに持ってきていたら・・・重かったですね
σ(⌒ ⌒;)としては退院したスーザンとリチャードと子供達の再会(?)を観たかった気もします
Posted by mikaりん at 2007年06月07日 16:23
☆mikaりんさま☆
ちょっとあまりにも悪評が目立ったので
なんかこういう見方もあるよ〜というのを
伝えたくなってしまいました・・・の割には
途中まで書いてほったり飛ばしてたんですけど(^_^;)
ラストは「は?!そこで終わりかいっ!」と最初は突っ込んでたんですが、
観終わってしばらくして考えてみるに
あの時間内ではいちばんいい終わり方だったのかなぁと。
私的にあの映画でいちばん悪いのは、
スーザンとリチャードの子供を預からなかった
キャサリン(でしたっけ)だと思ってます!
あれがなければ少なくともアメリアは
あんな目には遭わなかったと思う(:_;)
Posted by こたえ at 2007年06月08日 23:26
待ってました〜こたえさんのバベルの感想!
う〜〜〜ん、やっぱ観とこうかな〜(もう一日一回上映で時間が合わないの★)
その上娘が友人と観て【重い〜】と凹んでいたんで、ちょっと引いてしまったの。。
最近【女帝】と【スパイダーマン3】を観ました♪
【スパイダ〜】の方はこたえさんが観る予定だと知り、興味が湧いたの。 観て良かった〜♪ (┯_┯)
【シューター】と【プレステージ】も近々観る予定です☆
Posted by tom☆ at 2007年06月09日 10:33
☆tom☆さま☆
いやーーー、すいませーーーん、、
相当遅くなって(汗)
お嬢さんの年代だったら「バベル」は重過ぎるでしょうね。。。
30代以上が観てあの深みというのは分かるんじゃないかなと
思います。
感想、他には「スパイダーマン3」とか「叫」とか
見てるんですけど、もう東京行って「監督・ばんざい!」と
「しゃべれども しゃべれども」見たら
頭がそっちになっちゃってf^_^; 感想ほったらかしになってます(^_^;) すみません、、、
「女帝」どうでした??長崎では終電終わる時間にしか
上映されてなくて、見れそうもないんですよ〜〜(´Д⊂
今、足を怪我(ヒビの疑いあり!)してまして
外出があまりできないので、ジャック・スパロウさまにも
まだお目通りできておりません(┯_┯)ゆえ、
楽しみにしていた「極大射程」がー!がー!観れるかな〜〜(T∇T)

Posted by こたえ at 2007年06月09日 18:08
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「バベル」■バラバラになったもの・したもの
Excerpt: 題名の「バベル」は「人間の傲慢を罰する為に、神が人間の言葉をバラバラにした」というエピソードからのものであるが、この映画「バベル」の中では、もはや言葉だけではなく、心までがバラバラでむすびついていない..
Weblog: 映画と出会う・世界が変わる
Tracked: 2007-06-07 17:58

「バベル」 人はなんと不完全な生きものであろうか
Excerpt: 「バベルの塔」のエピソードが出てくるのは、旧約聖書の創世記。 聖書によれば、人類
Weblog: はらやんの映画徒然草
Tracked: 2007-07-16 22:34
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